突然ですが、
いくら実態とはいえ、塾(教育サービス業)の実態を開陳してばかりいないで、時には、成績向上や合格のために必要な情報を書くことが、世のため人のためでは??
という大層な自問が湧いてきたので、短く書きます。
香川の診断テスト、埼玉の北辰テスト、そして各地各校の入試問題を見て、感じるところがありましたので。
とはいえ、一番大事な部分は、ブログで公開しまくることはしませんで、実際に今、指導を受けてくれているお子さんと保護者さんのお悩みに合わせて逐次お届けしていきます。
さて、
魁が保護者さんにあんま言わないでほしいな~~と内心思っている言葉があります。
「理科と社会は覚えれば何とかなるでしょ!」
というズレたひと言です。
特に、魁の帰り際、なぜだかお子さんがいる前で言い放つ方が多いので、特にです。
できる状況ならその場で否定しますが、次の方まで移動の時間がないときは、逐一突っ込まずに流さざるを得ないときもあります。
あと、お子さんの前で、保護者さんの発言を強く否定するのは、その後にいい影響が出ると思えないので、避けることもあります。
詳しくは、お子さんへの指導の中で伝えていますが、
「覚えれば何とかなる!!」
の考え方では、正解にたどり着けない問題があるからです。
というより、前提の知識の覚えが完全完璧ではなくても、
「基礎知識+分析観察力」
で得点できてしまう問題が、入試に近づけば近づくほど増えてくるからです。
例えば、令和元年か2年か忘れましたが、中学3年生の診断テストの問題で、次のような問題が出されました。
(社会の歴史より・・・)
江戸時代、大名を監視するために江戸幕府が設置した役職はどれか?すべて選べ。
これは一瞬ドキッとするような出題です。
まずもって、受験生が大名の関連で覚えていることというと、「親藩」「譜代」「外様」の分類が最優先の常識です。
中でも「外様」が僻地や遠方を治めるように配置され、
参勤交代の際に出費にあえぐようになった。
↓
薩摩藩は琉球と強く関係を持つことで、清国と貿易で利益を・・・
というように、長尺になるので止めますが、ストーリーを交えて教えていくと、お子さんの中で「出来事の羅列」でなく流れができて、記憶がより強化されていきます。
(ストーリーは史実そのものというより、受験において役に立つかどうかで構成します。塾も家庭教師も学問の研究者や専門家ではありませんので)
ただし、この問題は「江戸幕府の数ある役職の中で、特に”大名の監視”を務めていた役職を選べ」と来ています。
しかも、お子さんが嫌がる「すべて選べ」です。
諦めの早いお子さんの反応は想像できます。
「そんなん覚えてねーし!!!」
のひと言です。
ではどうするか?・・・実はどうするか?は悩んだり、特別な解法や暗記法を伝授するような類のものではありませんで、
問題をよく見るとぜーんぶ書いてある
というのがオチです。
その問題は、「江戸幕府のしくみ」という図表が補足でついていまして、それぞれの役職名に、それぞれの役割がていねいに印刷されていたのです。
その中に、明らかに「~~の大名の監視」と記載されている役職が3つあり、それを書き写せば、正解!(大目付、大阪城代、京都所司代ですね!)
結果的にはeasyな、「確認して写す」という作業をすれば解ける問題です。
ところが、
- どんなに勉強を積み重ねたお子さんでも、テスト中の心理というのは実に微細です。とにかく自分の考え方に自信がない。
- 元より「江戸幕府の役職」を図表を見ないでいいように完全暗記しているお子さんはそうそういません。(それに時間をかけるんなら、他のことを学んでほしい)
という2条件が重なり、
「え?ここ読んで書けばいいんですか??」
「よく見たらできたのにいいいいいい!!!」
という後悔の声が讃岐平野にこだましたとかしないとか。
いや、こだましていました、確実に。
この意外な傾向は、診断テストでも、入試問題でも、他県の問題にも軽視できない頻度で見られます。
というか、「そのままの知識テスト」はほとんどなく、「基本と基本を組み合わせて難問に見せかけている」とか「大したことを聞いていないのに、見た目が難しそう」な問題たちがキーを握っているのが実情です。
だから、「覚えておく」だけではすんなりと得点にならないのです。
キミが受験で理科社会を得点源にするためには、「意外ととれたわ」という一問とテスト中に出会う必要がありますし、アナタが難関校に進むためには、「覚えただけでは正解できない問題」をとりつくす必要があります。
*
ところで、もし仮にその1問をお子さんが不正解となってしまい、悔やんでいたとしたら、読者さんの中の保護者さんは、どう励ましますか?
まさか、
「しっかり読んで、集中して解かないと!」
とは言いませんよね??
だって、同じ口で、
「理科と社会は暗記よ暗記!覚えれば何とかなる!」
って、折に触れて言ってきませんでしたか???
「覚えていないような内容が出たら、問題に何らかのヒントがあるはずだ。」
と魁なら考えますし、担当しているお子さん(特に受験期)には常にそう指導します。
一方で、「覚えたはずのことが全然出てない!」という心理にテスト中に陥ったお子さんは、1問、また1問とジワジワかつ容易に追い詰められていきます。
知識 ≦ 落ち着いて、よーく分析 + 観察
が習慣づいていなければ、取れたはずの1問を見落としていくのです。
たかが1問ですか?その1点を取るのが、「得難い勝利への道」なのでは?
他の子が動揺して取れなかった1問1点を抜け目なくGETするのが、「ライバル、そして自分に勝つ、受験を通じて成長すること」なのでは??
よく受験間近に際し、保護者さんから
「歯がゆいが、見守ることしかできない」
との言葉が出ることがあります。
それは応援しようがないということではなく、「保護者さんのできる範囲ことでお子さんをバックアップするしかない」という意味のはずです。
お子さんは、家庭教師の言うことよりも、塾のスタッフが言うことよりも、一緒に過ごしてきた保護者さんの言葉に反発しつつも大きな影響を受けます。
(周囲の全員の影響を受けることに違いはないです)
その中で、その場のチカラで得点にできる問題があるにもかかわらず、「覚えてねーからムリ!!」となる心理をテスト中のお子さんに生み出してしまうのが、この
「理科社会は覚えれば何とかなるよ!」
のひと言です。危険です。
*
これは可能性の問題に過ぎません。
保護者さんの言うことをぜーんぜん聞かない感じのお子さんだって、よくよくいるはずです。
ただし、「どこで覚えてきたの??」だったり、「そんなことを真に受けていたの?」が急に生じるのもお子さんならではです。
だから、お子さんに誤った思い込みや、考えを放棄してしまう可能性の因子である「覚えときゃいい」を保護者さんの発言から滅ぼして頂きたいのです。
同時に、暗記にしか目がいっていないようなジュク、あるいは指導者にお子さんを任せるべきではないのはもはや明白です。
「理科社会の教科書を丸暗記すれば受かるよー」
とよく言えたな?と言いたくなるような誤りを公言していた同業者すらいます。
本気で言っているなら、強烈にマヌケな発言だし、ウソを述べて丸暗記させるために受講を増やすような企みをしているなら、より悪質です。
※魁は、テストによく出る場所をとある方法で周回できるように、受験期にお子さんに準備させています。コンパクトに効果的に!!
魁が、埼玉時代に社会科の公立難関校向け特訓口座を担当したことがあります。(スパルタ大手塾時代のことです・・・プロフィールに書いています)
開講時に、埼玉じゅうの受講希望者の塾生さんと保護者さんを前に、講座の方針を説明する会が開かれました。
魁の持ち時間の冒頭のひと言は、必ず
「社会は覚えてお終いという考えを捨ててください。合格するまで二度と言わないでください。お父様お母様もです!」
から始めました。
「覚えりゃいいんだろ?と思い込んでいるそこのあなたは、そんなん通じない問題をお見せします。そして解けるように私が鍛えます。」
「5科目の担当がいますが、社会科が一番頭を使って疲れる150分になります。覚悟して受けてください」
と本当にそうなので言い切りました。
覚えてお終いという思考では、どうしても超えられないカベがあるとわかっていたからです。
では、今日も指導に行ってまいります!