突然ですが、
近隣の比較的名前のよく知られている?塾さんが
内部分裂した・・・。
という何とも言いようのないニュースを耳にしまして、ふと懐かしく思い出したので、書きます。
(気づかない・目に見えない)反発
↓
(経営者を共通の仮想敵とした)結束
↓
(急激な、しかし周到に準備された)亀裂・分裂
教育サービス系の経営者が、
「今日突然みんないなくなるんじゃあないか?ビクビク( 一一)」
と恐れているのはありがちなケースです。
さて、
魁が「塾って分裂するんだ・・・」という出来事を初めて知ったのは、1990年代です。
地元の埼玉から私立中学校受験をするために小学校4年生から通っていた塾が、受験が終わり、卒塾した直後に大っぴらに分裂しました。
「○○(経営者の個人名)義塾」という塾で、埼玉県等にひろ~~く展開していた塾で、中学校受験をするならギジュク(以下そう呼びます)に行け!という風潮すらありました。
いわゆる飛ぶ鳥を落とす勢いであったギジュクと、よーく似た名前の塾のチラシを家族から見せられたことを記憶しています。
「ギジュク、分裂したらしいよ?知ってるセンセイいるんじゃない?」
そのギジュクから分裂して新しく起業された塾のチラシには、一面ビッシリと
「○○ギジュク・元講師の****先生」
と分裂前の塾名を直撃の名指しで、写真付きでスタッフ一覧がドドンと掲載されていました。
写真には1名、顔と名前が一致する方が居ました。講習か何かで短期間習った覚えのある男性の先生でした。
意外と知っている講師がいなかったので、拍子抜けした記憶があります。同時に、
「あー、あの時のギジュクはもうないんだな・・・」
と何かが消失したような感覚がありました。
*
個人情報保護法はなかった時代です。
黒に近いグレーとも言われる、「協業忌避の誓約」などもどこまでされていたのか?は知る方法がありませんが、
前の会社の方針がおかしいから分裂・創業し、
直で元の社の名前を広告に出す!!
(=異様なできごとが内部で起き、この度分裂しました!!!と喧伝することになる)
というのは、中学生になったばかりの私にも強いインパクトがありました。
少年魁は、今となっては「小江戸」として観光地になっている川越の校舎に通っていました。
ビルいっぱいに塾生が入り、教室のやりくりに四苦八苦しているのが塾生にもよくわかるレベルの繁盛塾だったのですが、近くを通るたびにギジュクの様子は減退していき、今はそのビルごとないはずです。
どうも後に聞いたところでは、創業社長さんが、
「塾に留まらず、もっと教育において社会貢献をしたい」
との考えで、学校法人の経営に手を出された際に内部で対立が生じ、分解に至ったようです。(wikiレベルの情報に過ぎませんが…)
ただし、中学生時の魁は、自分が将来教育サービス業界で働くことになるとは思っていませんので、先に書いた「謎の消失感」を少々感じた程度でした。
*
次に「塾の分裂」を聞いたのは、就職活動のときです。
後に新卒として入社することになる大手スパルタ塾の説明会においてでした。
巨大な企業の人事課、しかも塾となると人の出入りも激しく、超激務と思います。
それだからか、人事の責任者の課長さんはやや機械的な雰囲気のある、感情の読めない「仕事人!!」といった空気の方でした。
スムーズに、しかし淡々と説明会が進む中で魁もこの会社を受けるべきか?否か?がつかめずにいました。
すると、その人事課長さんが、ふと、とあるライバル塾に対する話を挟みました。
「A社は、B社から露骨に分裂してできた塾ですね、組織的に計画して。。。これは道義的にあり得ない!」
感情の見えなかった課長さんがその一瞬だけ強い憤りを露わにしました。
今となっては、その瞬間だけ「人らしさ」を見せることが、プロレス的な演出だったのかもしれません。
A社とB社の分裂騒動も、どこまでが真実かわかりません。
道義的に!というといかにも日本的で味方が増える言葉です。
ただし、あいまいな言葉です。悪用しようとすれば、いくらでも拡大して押し付けようとすることができる。
ありがちな話で、A社の経営のやり方が強引で、耐えかねた末のB社起業だったのかもしれません。
ともあれ、プロレスだったとしたら学生魁はまんまとそれに乗せられ、選考を受けることにしましたし、面接の中でもその課長さんの小話を話題にしました。(そして内定GET)
コトは簡単に興せる
受験期に通っていた塾の分裂。
就職活動時に聞いた塾の分裂話。。
他にも聞いた様々なお話。。。
「塾は結構分裂する」というのは印象ではなく、すぐ起きるのが事実のようです。
分裂してできた塾の数の統計は(計測しようがないので)恐らく存在しないでしょうが、ただでさえ離職率が高いブラック業界です。
分裂しやすく、新しく起業しやすいという特性も影響している思います。
詳しく書くと超長くなるので、まとめますと以下の3点でしょうか。
- 「オメーラに”与えてやってる”んじゃ!」
が透けて見える、満たされない経営者の内心のルサンチマン(フランス語)が毎日炸裂している。 - それに付き合うそぶりをしているが、実は
「働いてやってるんですけど!?」
が本音の、主張だけ異様に強い従業員だらけ。 - 実は開業準備がかなり簡単。
勤めている限り、塾はブラックですし、やりがい搾取チューチューです。
①も②もブラック企業の典型そのままですね。
①折に触れて、「うちで勤めてれば、どこに行っても通じるよ!」と手前味噌発言をするのが特徴です。
「うちはホワイトだよな~?!」と従業員にどや顔で聞き、従業員が「あ、はい」と引きつった微笑をしているタイプです。
②経営者も従業員も、「過去に満たされなかった経験」に強く縛られて、引きずっているケースが異様に多いです。話が長く、人の話は聞きません。
例・
元々いじめられっ子だったが、イキって会社を創業することでトップになれた!ボクの強引な命令にみんな従う!
学力に強いコンプレックスがあるが、だからこそ(この”だからこそ”が強引過ぎる…)教育に一家言持っており、地域に貢献できている!
・・・という感じです。距離をとって引いた目で見る分には、
「あーいたたまれないなー」
で済むのですが、内情を知らないお客さんからすると・・・(悲)
独特の自己顕示欲というか、ひと言でいえば「そういう何も生まない空気」に満ちており、同時に奇妙な熱意が飛び交っています。
自分で事業を興すということ自体、
自身が過去に感じた何らかのマイナスを解消したい~~~!
という闇の情熱?に基づくものなのかもしれません。
魁におきましても、中高が超絶エリート校で、その中で勉強において全く歯が立たずにエスケープしたくなった時期がながーくありました。
(超勉強した時期と、全くうまくいかずにやる気も出ず、みじめな思いをした時期が、今の指導に生きていますが)
③塾を創業するには、特に許認可等が必要ありません。
教員免許も、文科省への申請も、保健所への届け出も必要ありません。
(教員免許をひけらかすジュク関係者もいるそうですが、何らの関連性もないです。というか、本当は自身もそうわかっているはずです)
税務署には開業届を出すべきですけど。
資金面だって、「高度な機材」も「傷んでしまう食材」もないので、他業種に比べればずいぶん楽です。
簡単なので、「こんな経営者の下で人生を浪費するのか…」と鬱々としてブツクサ言っているくらいなら、心ある教育サービス業界人はドンドン開業しちゃえばいいのに!
という考えが行き過ぎとは、魁には思えません。