連日、あの手この手で塾内の人罪と学生バイト塾の真実を公開し、読者の皆さんをドン引きさせている魁ですが、過去記事や「よくある?に一問一答」のページでもふれたように今回は、
こ、この方は素晴らしい「人財」だ!
と感じた優れたバイト講師さんを見ていて思ったことを書きます。
「社員になりたいです」は良心があれば確実に止める
まず前提として「塾の社員」というのは、わざわざ選んで入社するような職ではないと魁は確信しています。
99%、ホワイトではなく「ド」ブラックで、安定もしていません。居といてなんですが、少子化で優勝劣敗が進み、ジワジワ「滅び」へ向かう業界です。(現実は非情である)
魁の地元で1軒、感心するホワイト塾がありますが、その社に在籍していたわけではないので実態はわかりません。
つまるところ、塾の社員て、そういう境遇を選ぶしか道がなかった、人生の各要所のタイミングで「負けてきた人」です。塾を選んだのではなく、塾にしか入れなかったのです。胸張って反論できる人はまーいません。(ムキになって反論する人はいるかも笑)
なので、塾のバイト講師さんを見ていると、社員(だった私含む)より、はるかに高い能力や将来へのルート選択をもった優秀な人財を多く目の当たりにします。
逆に、一見ベテランのバイト講師や正社員の方が、
- 「うちの子に触らないで!」と保護者さんがドン引きするほど低学歴にもかかわらず、人生や勉強を語っている
- 「あの高校は、今年の入試でAの地区から意図的に合格者を出しているっぽいですね~!」などと、何の統計にも基づかない怪異な言説に踊らされている(かつ若手にそれを吹聴して回る)
などのシュールというか、矛盾を感じざるを得ない場面が今日も展開されています。
話を戻しますと、社員の人罪ぶりに比して、塾講師のアルバイトさんは70%くらいは「結構優秀+一応まじめ」です。
万一そんな学生さんが、「(ぼくも私も)魁さんのところで正社員になりたいです!」と言ってきたら、、、
「(0.3秒で)止めとけ!」(嬉しいけど、君にはもっといいルートがあるよ)
と一言目に確定でお答えするような労働環境です。(離職率の高さは統計で明らかです)
学歴なのか?素質なのか?
さて、目の前に10人大学生のバイトさんがいる場合、仮に全員が「結構優秀+一応まじめ」であっても、お子さん(+結果を見た保護者さん)が納得してくれる講師になれる人は、多くて2人です。
おそらく、お子さんを学生バイト塾に通わせている保護者さんの体感値も、そんなところかと思います。
10-2=8人(良い講師になれない8人)に目が行きがちで、
「なんでそんなに率が下がるの??」
となりがちですが、それについては別記事(「研修しましたのウソ」「プロのいない校舎」)でまた書こうと思いますので、今回は良い講師に共通する優れた特徴を挙げます。それは…
- 再現性
- 共感力
の2点です。
一つ目の再現性について・・・
実は塾業界のバックヤードで、当たり前に交わされている言葉に
「自分で解けるのと、それをお子さんに指導で伝えられるのは違う」
というものがあります。
例えば、東大卒だったり、医学部や法学部在籍だったりで圧倒的な学力を持っている人物がいたとして、いかなる難問も解ける万能タイプであったとします。
ただ、「解ける」というのはあくまでその人物の脳内で起きていることに過ぎず、お子さんが自力で再現できなければ、指導の価値は生まれません。
解く過程を追いかけるだけなら、解説書を読むか解説録画を見ればガンガン成績が上がるはずです。
「おれが現場にいたときは~~~の成果を出してたもんだ!オマエはなぜできない?!」
「もっと本気で頑張れよ!!」
と喚く上司がいたら、部下はただの絶叫応援団(=迷惑)にしか感じません。しかし、「解けることだけは得意」な学生さんはそこに陥りがちです。
「今日どこやろうか?」
「(導入がおろそかなのに)まず解いてみて!」
「ちゃんと読んで、しっかり解いて」
など、意外に感情的に言い放ったりするのは珍しくありません。
再現性のある指導ができるバイトさん講師は、
「(ぼくは私は)Aのように考える。この子は、A+のような言い方をしたらわかってくれるかな?」
と、お子さんに伝わりやすく、忘れにくく、一人でも実行できる指導をします。
お子さんが
「〇〇先生はわかりやすーい」
と言うようなら、とりあえず「伝わりやすい」まではクリアできている担当さんです。
(もしも一人でも実行できるよう指導されていれば、結果もついてきます。レアですが)
再現性はすでに、バイトスタートの段階で身についていることがほとんどで、バイト経験を通して身につくことは稀です。万一身についてもその頃には、就活+ほどなく卒業・・・。
赤ちゃんに食べさせる離乳食って、味や硬さが赤ちゃんの成長に合ったものになっていますし、野生生物だって、生まれたての子どもには、柔らかい部分や親が嚙んだ部分を食べさせます。
学生バイトさんで、お子さんからリクエストが入るような方は、できるだけ短い言葉で、お子さんが「どこに目をやって、どこからペン先をつければいいか」を表現できているから、人気になるわけです。
ただし、残念ながらその加減がをつかめているバイト講師は、希少です。
怖いことに、おっさん+おばさん以上の年齢層の講師であっても、保護者さんが「まさか」と思う以上にこの指導ができている人ははるかに少ないです。
二つ目の共感力について・・・
再現性を支えるために、お子さんがどこで詰まっているか?どんな気持ちで指導を受けているか?を判断して、「こんなに簡単なんだよ~~」と伝えてあげられる(ハードルを下げる)、あるいは「(あなたの)味方だよ~~」と感じてもらえる位置にスッと入る、共感力が必要です。
これは、魁のような年の離れた図体のやや大きめのおじさんよりも、学生さんの方が圧倒的に有利です。お子さんの時の悩みや心理をより鮮明に覚えているからです。
魁は、お子さんのペンが止まった瞬間の目の動きと呼吸の感じ、お子さんの体勢の全体像を俯瞰して、止まった秒数から判断してどう声掛けするか決めています。
残念ながら、学生さんの方が有利とは言っても、
「(指導中、あの子は私の言うことを)聞かないんですよー。集中力がないですねー。」
で止まることが80%です。そこから先どうするかというのは、学生さんには引き出しとしては厳しい局面ですので、塾の社員の腕の見せ所(責任)ということになります。
この共感力はもろ刃で、容易に甘さにもつながります。
「とにかくやる気を出させたいと、根拠なく勢いでほめる」
(調子が良いので、その場は何となくお子さんもテンションが上がるが、すぐ醒めて効果がなくなる)
「宿題をやってこないことを指導せず流してしまう」
「部活疲れでウトウトしているお子さんを、休ませてあげたいと謎の判断をして放置する」
そこで甘くすることは、長期的に見てお子さんを不幸にするので、魁は不要な優しさと呼んでいますが、厳しくできない学生さんは想像以上に多いです。お月謝のかかった授業時間の中での出来事でゾッとするわけですが、今お通いの校舎で、今日の通塾時間にも遠慮なく発生しています。
魁が初めて入社した大手スパルタ塾では、最終面接で
「兄のような講師になりたいです」
と述べた魁に対し、役員の方から
「その考えではお子さんを伸ばせない。お兄さんお姉さん先生は要りません。」
とハッキリ言われました。(厳しい社風でしたが、この一言だけでも入社してよかった)
指導自体がわかりやすいことも大事ですが、お子さんの「勉強やらなきゃいけないけど、めんどい」の気持ちを拾う声掛けをできる学生さんは、お子さんをいい意味で「調子に乗らせて」指導を進めます。ストレス感を減らせるからです。
意外とおじさん以上に説教臭くなってしまう学生さんや、お子さんの気持ちに異様に無関心な学生さんには、「もっとその若さをフル活用すれば楽なのに!」と見ていて感じます。
ここまで書いてきて、書いたことは事実にも関わらず、それを保護者さんが見極める手段がないことを再認識しました。
商品という形がないサービスゆえに、塾選びは「見極めの難しさと怖さ」があります。
「ここを見れば塾の優劣がわかる」というポイントを明確にしていきます。(きっと極論になります)