突然ですが、読者の皆さんは「報告書」を書くことはありますか?
保護者さんなら仕事上何らかの形で成果や勤務の報告書が、お子さんは学校で実験や鑑賞などの「レポート提出」(英語:report=報告)がありますね。
期限が決められているので、いつもの流れで何となく出すものもあれば、重大なできごとについてまとめた緊急のものもあると思います。
今回は、魁かのう塾で毎月1回ご家庭にお渡ししている、「指導報告書」についてです。
今日も、当ブログの「よくある?に一問一答」のコーナーに以前も書いた「良い塾、ダメ塾見分け方」から派生した内容です。
ダメ塾の特徴とは、「何が起きてるのか一向にわからねえ~!!」こと!
さて、受け取る側の保護者さんはそんなに重~くとらえないでほしいのですが、魁はひと言で言って「よい塾」を目指して、もちろん悪徳でなくありたいと思って報告書を書いています。
奇しくも教育サービス業界は、”お月謝”などと呼ばれる形で指導料金を頂戴しています。ですので、ひと月に1回は書面による報告があってしかるべきというか、むしろ当然ですよね。
熱心な個別指導塾さんだと、毎回の指導ごとにお子さんに指導報告書を短く書いて渡していますので、(内容が効果的なものであれば)保護者さんの熱意に応えるためには、それくらいでも過剰ではありません。
魁が社会人で初めて在籍させてもらった超BIG塾では、「授業スタッフからのご様子伺いと報告の電話」と「お子さんごとの個別コメント入り報告書」が毎月ノルマでしたので、月後半は地獄のようにハードでした。
が、300人超規模の校舎であろうが、学年コース問わずに必ず配布されていました。急成長して首都圏を席巻した塾たる所以のひとつです。
ノルマというより日常業務なのですが、管理責任者の社員はボーナス査定(組織ができているので、すべて基準が明示されていた)に影響がありました。
そんな事情もありましたが、新人だった私には採用説明会で人事部長が説明していた、「ウチは暑苦しい塾ですので」という言葉が今でも印象に残っています。
- 「時には軽くウザがられても電話(追加の講座申し込みも迫る電話なので)」
- 「在籍500人いても全員に報告書を発行し、ご家庭あてに郵送」
- 「ていうことは内部で添削」
- 「授業ごとの成績推移(小テスト)を管理して出力・添付」
そこまで暑苦しく一貫しているのは、さすが!と言いたいところです。
が、それでも保護者さんからすれば、
「うちの子は本当にわかっているの?ついていけているの?」
「力がついてきているのか見えづらい!」
と感じることはあったはずです。毎日電話してくる保護者さんもいましたし、1回の電話が2時間超えるご家庭もありましたので。
それほどに、塾側がしているつもり + わかってもらっている気になっていることは、保護者さんには伝わりづらいものです。
だから、塾側は今現在が良くても悪くても、状況を頻度高く保護者さんに開示していく務めがあります。(法的な義務ではないでしょうが、自然と報告したくなるはず)
*
お子さんを送迎している塾で、毎回行われていることがいいのかわるいのか、よくわからない。
お子さんに聞いてもイマイチ釈然としない(お子さんが自分の状態を正確に把握できているケースはほとんどないです)。
毎回の不安が毎週になり、毎月になり、そのタイミングでテスト結果だけ返ってくる。その結果に対する分析も塾からは連絡がない・・・。
しびれを切られて電話したら、慌ててその場しのぎ的な対応をされ、一応ガマンして様子を見る・・・。
そして毎回引き落とされる月謝と、定型の引き落としあいさつ文・・・。
こんなんじゃあ、「どうなってるの?!」「任せていいの?!」という保護者さんの雄たけびが発生しても不思議ではないですね。
その雄たけびがどこから発するかといえば、「ご自分のお子さんが、どこが、何を、どうなっているのか」という過程が極端に見えづらいことからです。
塾の提供する「教育サービス」は商品としての形がありません。自動車に例えれば、部品にあたるものはテキストやノート類程度で、ほとんどは指導という技術に基づく動作で、自宅に持ち帰ることはできません。
人間は、見えないものに対して不安を抱くようにできています。マイカーであれば、修理に出した後に乗ってみれば異常が治ったことを(よほど巧妙に偽装されていなければ)実感できます。しかし、お子さんに日々行われている指導の効果はどうやって測るのでしょう?
だから、「うちの子、今どうなっています?」という問いを保護者さんが抱くのは本能的に当然だし、その不安な気持ちを抱かせる前に報告、となるのは私がいたBIG塾のレベルでふつうくらいです。
打ち込みでなく、肉筆しています
ここでお手元の検索エンジンで、「塾・コメント・テンプレ」と入れて探してみてほしいのですが、(そのあと帰ってきてください笑)ゾッとするほど、「家庭向けのコメントのテンプレート」が出てきます。
「担当の講師がうちの子に書いてくれたんだな・・・(^^♪」
とお読みになっている印刷コメントが、いとも簡単にえげつないほど量産されたモノで、ちょろちょろっと端っこの文言をいじっただけのものである可能性が十分あります。
是か非かは論じませんが、私は嫌です。嫌なので。
下手すると、塾生全員同じコメントのコピペである恐れも。
「魁くう~ん、こういうの便利だよね~、知ってた~?」
と、かつて得意げな顔で私にこの手のテンプレを見せてきた年上の講師、今でも使いまわしを続けているのでしょう。(締め切り守らない、非常に怠惰な人物でしたが)
手書きで魁が報告書に書く内容は、ヒーローインタビューです。
スポーツ中継の試合後に、その試合で一番の活躍をした選手に、現場のアナウンサーが色々質問をぶつけますが、分類すると「今の気持ち…」「あの場面を振り返って…」「今後への意気込み…」の3つで構成されているといいます。
魁の場合も、「これまで」「現在」「これから」の3つを保護者さんと共有したいと思っています。
「以前~だったのが、~なってきました」
「今はこの段階で、これが課題です」
「これから~で改善していきたいんです」
なんだか超単純なので、もう少しスペシャルなことを書きたいんですが、軸はこれです。
成績は局点でなく、流れで見たいし、もし保護者さんの理想に今の時点で届いていなくても、解決のための方法を伝えてイメージを持ってもらいたい。
「よい変化にも目が行きますように」とも考えています。
人間の心理として、全体の7割成功していても3割の失敗に目がいくようになっているそうです。
お子さんがある一分野で懸命に努力して少しの成果が出てきているタイミングや、得点にそこまで結びついていなくても理解ができつつある状況もあります。
その変化に気づいて、1対1で指導している私にしか見えない、根拠のある変化と成長をお伝えして、保護者さんの「形の見えない不安」を軽くしていきたい。
塾がご家庭と情報交換をするツールというと、報告書の他には、
「立ち話」「電話」「面談」「メール」「各種メッセージ」
があります。
魁は、急ぎの移動やご家庭の用事がなければ、指導後に保護者さんに簡単に口頭でその日の状況を報告してから帰ります。保護者さんからの都度のリクエストも伺います。
「引っ張ってすみません」
と律儀におっしゃる保護者さんもいらっしゃいますが、
- 私の指導と保護者さんの想いに「細かいズレ」が生じていないかの確認
- 保護者さんが気にされていること⇔私が気になったことの情報交換
- (その場にお子さん本人もいるので、)「短い三者面談」に値するやり取り
を小刻みに行えるのは、保護者さんやお子さんの持つ不安を軽減するために大事な時間です。
これが数回たまったり、増してや月を超えて話すタイミングを取らないと、お子さんも保護者さんも、私も、その時の気づきや伝えたいことが薄ぼんやりとなっていきます。
数か月まとめて面談を~ではあまりにもノロマです。タイミングを失しているどころか、話す内容の真偽も疑わしい。かといって毎月のように面談の時間を取るのはご家庭に迷惑(何より塾側もメンドイそうです)。
電話は、(何となく誰もが感じているように)この時代には明らかに不向きになってきています。かかってきた瞬間に思考と行動を中断させ、時間を簡単に奪います。双方にストレスなることが多く、顔が見えず伝わりづらい。だから、口約束や口から出まかせが塾業界にははびこりやすいです。
通信メッセージのやり取りもしますが、あくまで補足。
そして、私が毎回する口頭報告(立ち話)ではそれだけだと深い話を行ったり、伝えたい内容を形に残すことができません。
ゆえに、月に1回、その指導を(前月以前から俯瞰して)自身で反芻し、自分の中から出てきた言葉で書面にして、お届けしています。
※「ダメ報告書」の特徴は、先述の「一問一答」コーナーの後半にまとめてありますので、そちらでどうぞ。「ああ!そういえば!」と思ってもらえると思います!