叱り方シリーズです。
冒頭のこの段階で読者の方に注意を差し上げておきたいのは、この叱り方は「業務用」だという点です。
業務スーパーというイカしたお店があるように、業務用商品は身近になってきました。
それでも業務用のサイズや濃度の商品を、ご家庭でそのまま使うとレベルが合わないことがありますね!
![レジをするアマビエのイラスト](https://skj2020.com/wp-content/uploads/2021/05/a80da-amabie_reji.png)
魁のような「週に数回+数時間しか会わない、血のつながっていない他人」が叱るのと、いつも生活を共にしている血のつながった家族が叱るのとでは、お子さんからの印象が違います。
叱り方の軸はこの後すぐ紹介しますが、
- 「他人か家族か」
- 「叱る人の特徴」
- 何より「お子さんの性格」
- 「叱る側と叱られる側の信頼感関係」
など、さっと挙げても様々な変数が存在します。
「叱る」は劇薬ですので、丸々コピーするだけでは効果が出ないことがあります。
その点をよくよくご注意ください。
叫んでばかりの指導者の愚
では、改めて魁式の叱り方の手順を紹介します。
- お説教は計画的に
- 何を伝えたいのかメモする what? when? who? where?
- 一瞬に全てをかける
- 10分以内に収められなければ、ただのウザカラオケ
- 10分で何を話すのか
- どうぞ、帰宅したら保護者に言いなさい
順を追ってご説明します!
1・ お説教は計画的に
「叱る」は正当な目的のある、計画的なものでなくてはいけません。
そして、怒りを垂れ流すのはシロウトのすることです。
魁が耳にした、効果がないダメダメな叱り方の話を例に出すと、
「おばあさんが、いつもいつもいつもいつも・・・ブチギレている」
という塾??があるそうです。
とにかく怒る、すぐ怒鳴る。いつ何で怒るかわからない。怒ると話が通じない。
ふつうの気持ちを持ったお子さんは、「合わない」「やってられない」といってすぐに辞めていくそうです。
聞いていて、ああ、案の定!と思ったのは、お子さんに本来必要のない「その場のしのぎ方」という知恵が身についてしまったことです。
つまり「やたらキレるばあさんのかわし方」です。
![おばあさんのイラスト「笑顔」](https://skj2020.com/wp-content/uploads/2021/05/0b08a-obaasan_face.png)
その子が目にしたのは、、、
そのおばあさんがいるときは「取り組んでいるふり」
おばあさんが席を外すと即座に「答えをカンニング」(答え合わせしかしないような授業で、間違うと叫ばれるので…とのこと)
おばあさんが接近してくると「素早くささやき伝達で接近警報」
怒鳴りつけの的になってしまったら「とにかく嵐が過ぎるのを待つ」・・・。
こういう時お子さんは残酷なので、塾生間では「先生」などと呼ぶわけもなく呼び方は”コードネームBBA”です。
そして敵意には敵意。ふとしたすき間時間には、おばあさんの悪口のオンパレードです。
おばあさんの振る舞いもそうですが、他の塾生の様子を見て、
「こうはなりたくない!!」
と強く感じて脱出してきたそうです。
いつも怒り、理由もなく叫び・・・そんなんでどうやって運営してきたのかは謎ですが、お子さんは目ざといもので、締め付ければ締め付けるほど、「いかに楽をするか」に走るという実例です。
そのおばあさんは自覚していないわけですが、その状況を作り出しているのはおばあさん自身です。
これは塾だろうと会社だろうと、そう変わりません。
叱られる側は、相手がなぜ自分に怒ってくるのかという理由を、とっさに探ろうとします。
だから、このおばあさん講師であろうと、会社の上司であろうと
「あ、コイツ怒鳴ってスッキリしたいだけだな。」
「怒ることが目的であって、理由がコジツケだ。話を聞く気がないな」
と判断した瞬間に急速に冷め、シャッターが下ります。
怒って叫んで!で満足しているから、その安っぽさが見えてしまう。
そういう指導者に限って、
「私の目は誤魔化せない・・・グフグフフ・・・」
「ボクは嫌われても構わないから、本気で叱る!!(それが愛情!!)」
と自分にウットリしているものです。そして単に嫌われます。
熱意ガ―!!命がけデー!!との秘めた思いがあったとして、受け手に伝わっていない以上、ただの騒音です。
![スマホを使う子供を心配する親のイラスト](https://skj2020.com/wp-content/uploads/2021/05/a99e3-smartphone_gorogoro.png)
読者さんは、親から小言をブツブツ言われて嫌になったことはありませんか?
だんだんイライラし、無視に近くなっていくことがありませんか??
「まーたキレてるよ、●●●大丈夫か?」
日本人の気質からして面と向かって言い返されることはほぼありません。ただ内心お子さんや部下に憐れまれているのです。
お子さんですら半ば本能的に「その場しのぎ」を行うのであれば、大人はもっと巧みです。
そうやって、価値が生まれないブラックな環境が整っていきます。
ここまでが悪い例でした。(そうそうこんなヒドイ人はいないはず・・・)
さて、ここからはどうするのが正しいのか?です。
第一段階を2つ書きます。
- 「叱る」と決める。
- 叱る旨を保護者に伝えて、打ち合わせをする。
え、そこから?という声が聞こえてきそうですが、感情任せにその場で怒鳴り始めるのと、目的をもってそのお子さんを指導するのは、本質が全く異なります。
前述したおばあさん講師や癇癪持ちの上司は前者。今回は後者です。
思い付きでカチンときて爆発するわけではないので、指導の方法として
「ここで叱っておくのが最良だ」
と決定する瞬間がスタートです。
また、「大きい声を出して叱りつける」までには前段があります。いわゆる「たしなめる」「注意する」「~を直して!とハッキリ告げる」などです。
実は半分超のお子さんは、この段階で気づいて止まります。「直しなさい」のサインを徐々に強めていく。そうすると、危険信号を察するのです。
大人でも、怒っている上司を見ると
「あーあー、ふつうに言えばわかるのに・・・」
と感じるし、そんな言い方でなくても十分直せるはずです。
そして、魁が必ず事前にしているのが「保護者さんに『今日、ーくん・さんを叱ります』と伝えておくこと」です。
教育サービス業が契約しているのは保護者さんです。
お子さんが家庭の内外(指導者の前と、帰宅後)で様子が違うケースは8割以上あります。
人間誰でも、相手によって態度が変わるので、お子さんがそうであっても不思議ではありません。(裏表がない方が少ないし、色々心配になります。)
ですから、「叱り」を決行する前に塾からは見えないお子さんの情報を知りたいし、保護者さんの思いを確認し、改めて合意しておきたいからです。
その際、「叱りますがよろしいですか?」ではなく、「叱りますので前もってお知らせします」という伝え方になることがほとんどです。迷う必要はないので。
また、パワーを込めて叱ると、往々にして、「言葉がきつくなり過ぎた」「想いが伝わらない」「お子さんが帰宅後に事実と違うことを保護者さんに告げる」というアクシデントが起きます。
その際に「違う口から同じ思いを伝えてあげる」ことができるのは、事情を知っている保護者さんだけです。
(つづく)