塾の秘密の内情

「お客様の声」から逃げた!!塾業界とアンケート

突然ですが、

読者の皆さんはアンケートに答えるのはお好きですか?

一流の企業になりますと、「お客様の声をお聞かせください」とホームページや店舗のハガキからダイレクトに意見や感想を送ることができます。

お客様は神様です!

というのは、かの三波春夫さんの名言で、真意は「お客さんたちの前では、神様の前で歌うように真摯に歌いたい」という思いでおっしゃったそうです。

いつの間にか、「客は神なので、何を言っても許される。そしてオレは・・・客。つまり神=σ(゚∀゚ )オレ」という都合のよい解釈がされて、無茶な要求を高圧的に振りかざすモンスターなお客??さんもいるのを耳にします。

セト神のイラストこちらはセト神さまです・・・その性格は・・・

さて、

今回は塾業界とアンケートについて書こうと思います。

お子さんが通っている塾には、定期的な「お客様アンケート」のような取り組みは存在しているでしょうか?

私が新卒で入社した厳しいスパルタ塾は、全家庭に対し、全回収かつ本社直行の郵送で「弊社に関するアンケート」が半年に1回のペースで行われていました。

その本社アンケートとは別に、季節講習の終わり際に自校舎で「満足度アンケート」が行われ、都度数値化されていました。

一番ドキッとするのが、「今の担当者の継続を希望しますか?(はい・いいえ)」というゼロヒャクの選択肢があったことです。

入社当初、バイトでも教務経験が全くなかった私の数値は、それはもうヒドイもので、私の授業のチェックに「県のブロックのTOP」が直接巡回に来たほどです。

少し経験を積んでからは、魁自身も集計の業務をしたことがあります。

教え方の要領をつかんできた(と自分で錯覚していた)頃だったためか、目の前で自分の評価が数字になっていくのを、一喜一憂しながら打ち込んだ覚えがありますし、魁の場合は自信になりました。

いろいろな表情のパソコンを使う会社員のイラスト(男性)いかにして分析の行き届いたアンケート集計を出すのか?という作成行為自体が競争でした。

「本社直行アンケート」は、ダイレクトにいわゆるボーナス査定の一部になり、自校舎の「満足度アンケート」は、所属長からの評価に影響するので、怖いものというより改善+向上のチャンスと捉えたことが当時の私には効いたのだと思い返します。

中には、校舎に対して苦情のご意見をいただいたり、対応に苦慮するような無茶な要望があったり、完全に白紙だと逆に怖かったりしましたが、それを活用してより良くしようと誠実に対応する風土があったことを覚えています。

アンケートとは何なのか

塾が月謝をいただいてお届けしているサービスは無形のサービスです。

飲食業なら「味」、製造業なら「製品の性能」に対してある程度目に見えた反応が返ってきますが、塾(教育サービス業)においては、

  • お子さんの成長が塾の指導によるものなのか?
  • 今月謝を払った効果がいつ出るのか?

というのが、お客さんからしたら非常に捉えづらい。(場合によっては塾側も見えていない)

よって、塾側からは、最低限月次の書面の報告書を発行して現状を伝え、かつ都度どうお客さんが感じているかを把握する。

それが、お子さんを預かることを仕事にし、対価を得ているサービス業者としてあるべき態度なのだと、闇雲に集計作業を行っていたあの頃ならいざ知らず、今はよくわかります。

対照的に、(保護者さんが真剣に書かれたであろう)アンケートに対して信じられない考え方をしていた塾関係者も目にしたことがあります。

いや、魁の考えがズレていて、塾ギョウカイにおいてはこんなの(↓)の方が常識なのかも・・・。(私は考えを直しませんが)

A社・アンケートキライコワイ病

その社長曰く、「アンケートなんて取ってごらんよ?好き勝手書かれて大変だよ?得策じゃないよ?」だそうです。

要は対応がメンドいってことだし、好き勝手書かれる程度のサービスしか提供していないことを自覚しているのが、絵に描いたように「small」…。

もちろん、塾生への「講師アンケート」は人気投票になってしまう傾向があります。

指導が役に立つのか?ではなく、楽しい!とか場合によってはカッコイイ!とかでアンケート結果の良い講師も出てきます。(外見でなく、中身を見ているお子さんもいますが、半数以下でしょう)

アイドルのポスターのイラスト(男性)こう言っちゃあなんですが、塾関係者ってモサい人が多い(テストで言うと平均点が低い)ので、カッコイイなどとおっしゃいましても・・・笑

ただし、アンケート結果によって、講師間、クラス間、校舎間で切磋琢磨する関係が生まれると、社としての成長につながるのは、「大手自動車販売会社の店舗間競争」を見ても明らかです。

しかし、そこまでのあんまり向上心がないのか、「おれはいいけど、講師の順位付けをすると、若手がやる気をなくしてしまうかもよ?」という究極の解釈が出てくる始末・・・。

おれはいいけど、って前置きするのは、誰かに理由をなすりつけたいからです。

ひょっとすると、順位が下位に来るのは、若手ほどの爽やかさもなく、経験年数ほどの指導力もないその人物自身だと予感して、臆病風に吹かれていたのかもしれませんね。

最終的には、アンケートアレルギー状態に・・・。

B社・アンケートで営業かけるネタ作り

「要望が書いてあったらそれをネタに営業電話をかけ、もっともっと売り込むのです!ヲホホホ…」だそうです。

その前に要望を解決する努力をせーよ。

マイナスな評価をアンケートに書かれた場合、それに素早く誠実に対応することで、プラスに変えられます。

それがアンケートを取る一番の目的ではないのでしょうか。

このヲホホ集団の場合、せっかくプラスにつなげられる材料がアンケートに書かれているのに、それをガン無視して、売り上げアップにつながりそうな部分にしか目をやらない。

つまり粗悪品でも構わんからグイグイ売りつけ続けたい!!という方針なわけです。

でもその下心が透けるアンケートだったらしく、お客さんに気づかれてしまって見事ズッコケたとのこと。

C社・アンケート結果捏造で憂さ晴らし

気に入らない社員が担当する算数についてのアンケートをとり、塾生が”~が苦手です”と回答していると、ミーティング(ブリーフィング?とか気取っているそうです。まったく手短ではないらしいので、少し笑えます・笑)にて、その社員を「キミの指導はこの程度なんだよ!ほら~塾生の本音が書いてあるよ~~!」とつるし上げの材料に即活用。

塾生から「国語のはないんですか?」というもっともな質問(算数だけ急にアンケートを取ったので、お子さんは当然疑問を持ったわけです)をされ、「それはボクが決めることだ!!」と怒って怒鳴りつける・・・。

自分(国語担当)にもマイナスなアンケート結果が返ってくるのが予想されて怖かったのでしょう。

自校舎内や自社内で世界が完結しやすく、視野が狭くなりがちなのが教育サービス業界です。

取ったアンケートに誠実に向き合うことで、見えなかった一歩に進める可能性が出てくる。

それは、お客さんの言いなりになるのとは違います。(できないことはできんし!!)

アンケートは、どんな答えが来るか冷や冷やしますが、超チャンスの基であるわけです。

全くの偶然ですが、実はちょうどこの記事を書いているタイミングで、顧客アンケートを蔑ろに扱っていた某塾が「撤退」をしたというニュースが耳に入ってきました。

もっとも、アンケートだけで社が吹っ飛んだとはさすがに思いません。氷山の一角だったのでしょう。

お子さん(&保護者さん)のために、良い塾(=真摯で善良な、対価に見合ったサービスを届ける)が増えますことを!!

アイキャッチ:Ana BolenaによるPixabayさんからの画像です!

ABOUT ME
代表者かのう
意外と若いおじさんです。 元某塾教務部部長。 香川県高松市在住。 とてつもなくいい人です。 Twitter @sakigake2020 LINE公式 @skj2020 県立高校受験と私立中学受験を10年超指導。 校長を務め、卒業生の第一志望校合格率は94%でした。 プロ家庭教師として、高松市に2021年春開業。 伝説的な「教育県」である香川県にて、持てる技術をフル活用して指導中。 このブログ記事で、お子さん&保護者さんに向け、今想うことを発信しています。

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