魁式に先に結論を述べますと、「十分可能性があります!」です。
地獄の特訓って、いったいどんなですか???
という興味のご質問を読者の方からいただきましたので、今日はそれにお答えするところからスタートしようと思います。
中身は実に単純で、「1時間=50分完全勉強+10分限定休憩」のサイクルで家庭学習を続けることです。
これ自体はそんなにま新しいものではなく、受験期を控えるとテレビや受験情報誌など、各種媒体で”必勝法!!”的な紹介をされます。
このサイクルが必勝法とされる根拠を、魁なりに考察しますと、、、
- 「さあ!勉強だ!」と長時間机に向かうと、必ずダレてくる。ダレて、休憩の方が長くなっていく・・・のを防ぎやすくなる。
- (諸説ありますが、)元来、人間の正しい集中力は45分程度である。
- 試験時間が、入試において1科目50分であることが多い(香川県の公立入試も同じですね!)
肉体が疲労するように、脳も人間の器官の一つと考えれば、時間経過とともに疲れていくのは間違いないです。
疲れ切ってしまう前に小休止を入れて、なおかつ実戦の50分というサイクルで勉強+休憩を回していくのは、明らかに後からダレるのが見えている根性勉強(笑)を行うより、理にかなった学習法だと言えます。
魁の場合は、ここにさらにいくつかの注意点をお子さんに伝えます。
- 午前中は「苦手」「難しい」「解く」を優先し、午後は「好き」「覚える」「書き写す」「おさらい」を中心に行うこと。
- 多少ずれても気にしないこと。でももし、予定に微妙な空白が生じたら勉強に充てること。
- 10分の休憩時間はスマホは禁止。刺激を断つために目をつぶる。
- ムリ!!と思ったら15分程度の散歩を混ぜること。
細かい~と思われるでしょうが、特に受験が差し迫った時期にこの「特訓」が発動することが多いので、3日坊主程度で終わってしまっては敗北です。
補足しますと、午前中に厄介な内容を優先するのは、午前の方が脳が元気だからです。
仮に得意で好きな内容を勉強していても脳は疲れます。午前中に一定程度脳が疲労した状態でお昼ご飯を食べ、午後から「さあ!苦手なことをやるぜええええええ!」という気持ちにはならないでしょうね・・・。
サイクルだけでは勝てない!
50+10のサイクルを、「自分なりにできる限り」の範囲で回していても、ただ疲労感が少ないだけのぶつ切り勉強で終わります。
当然思った通りの効果は出ません。
中学3年生の受験期ですと、学校さんの方針によりますが、登校日や登校時間がフルではないことが増えます。
今年の地獄の特訓 は、受験前のひと月弱(3週間強)、学校やあらかじめハッキリしている予定以外の時間、朝7時に起きてから夜23時に就寝するまで、ご飯お風呂トイレ以外の時間、完全にフルフルに行う!というチャレンジでした。
言葉にすると迫力に欠けますが、もしドキュメンタリー映像で撮っておいたら、さぞかしどれだけ強烈か、イメージがつかめると思います。(画像的には勉強が9割ですけどね)
「これは勝ったな」と思った瞬間のひと言
さて、この計画自体は、計画として立派で理想的なのですが、お子さん本人はもちろん辛いので、数日で音を上げてしまい、マイルド調整した、割と地獄の特訓 にトーンダウンしてしまう危険性が十分にありました。
受験期に、お子さん+保護者さん+魁で三者面談をして、半分くらいの確率で起こりうるのが、
「お話ししたときにには、うちの子”やります!”って言ったけど、結局帰ってからスマホなんですよ・・・」
という保護者さんからの嘆きの言葉が聞かれるケースです。成否は半々といったところで、魁が使いたくない言葉「本人次第」と言う要素が強いです。
受験生に、地獄の特訓
を提示した後に、魁も毎日そのお子さんに会えるわけではありません。苦闘しながら進めているのか、すぐに元に戻ってしまったのか、保護者さんに聞いてどんな返答が返ってくるのか、超気になります。そして、
「意外と続けられているみたいです」
という言葉を聴いたときに、これは勝ったのでは??という確信の元の元の元の想いが魁の中に生まれます。(そして勝った!)
ハードな勉強と、ハードなトレーニングの共通項
ここで、本日のタイトルにある、
スポーツにひたすら打ち込んできて、勉強の量が少なく過ごしてきたお子さんは、勉強で花開くことは難しいのか??
という問いに戻ります。いくつかの根拠と、実際のお子さんの成功体験をもとに、魁は
「十分可能性がある」
と踏んで指導をしています。
根拠を列挙します。
- 体と心の強さがけた違い
- 冷静な判断力も持っていることが多い
- 他のお子さんにない、成功体験をすでに経ている
魁も趣味程度にスポーツはするのですが、いわゆる体育会系の理不尽なノリは無理です。
ただし、受験直前期の勉強プランは「効率的に~」「ほどほどに~」ではとても手に負えず、
地獄の特訓のように、「ガチの勝負を一定期間ぶっ続ける!!!」
という形になり、それが合格に一番近道です。
それにたえ得るには、「心身が打たれ強い」ということが何よりの財産です。勉強もスポーツもそこそこにバランスよく~~~と過ごしてきたお子さんが、
「ムリムリ!」
と折れるところをサラッと順応してクリアします。
人間には(特にお子さんには)耐えられる期間の限界があります。社会人でも、違法なブラック会社で労働させられていては、数か月でどこかに異常をきたし始めます。
しかし、これまで厳しいトレーニングを乗り越えてきているお子さんは、「ムリ!」までの上限が高いのです。
また、「優れたスポーツマンには、優れた冷静な判断力がある」と魁は見ています。
超高性能な車に乗っていても、運転者の心が下等だったり、マナー遵守の想いがなければ、乱暴運転だろうし、いつかは事故をします。
それと似て、身体能力だけではスポーツで成果を出せないはずです。
引退したプロスポーツ選手が、YouTubeで自ら番組を持ち、発信することが増えてきました。偉大なプレイヤーは、プレーのその一瞬にかなり冷静に、深く考え、しかも力みなくかつ素早く動いていることがわかります。
試験問題を解いている試合本番といった最中に、どういう心理状態で、どこに目をやったのかは、問題の正解不正解に強く影響します。
学力自体はあっても、試験で動揺するような独特の心理状態になり、「もっと得点できたのに!!」という経験をする受験生は多いです。
魁は、問題の説明時にお子さん本人と「試験中の心理」を確認し、特に良いときは別の試験の時も再現できるように一緒に振り替えることにしています。
プロ選手が「試合の流れを読む」ように、スポーツマン受験生は、自分の状況を少し引いた眼で見て、時間や状況を把握していることがあります。
何となくやっていることが多いので、魁はそれを見つけ次第、「すごくいい!もっと発揮して」と指導します。
さらに、「他のお子さんにない成功体験をすでに経ている」ことが、努力+成長⇒合格のイメージをつかむのに活きてきます。
よく、「うちの子、やる気が出なくて・・・」「将来困らないためだって言ってるんですけど・・・」と悩まれる保護者さんのご相談を受けますが、お子さんからしたら、合格、優勝、内定、昇進といった大人が知っているはずの”成功体験”をほとんどしていないので、当然です。
よく、「言葉に出したことは実現できる」と、甘い考えがあるようですが、妄言です。残念ながら実感がないので、どんなに言葉で伝えても「そうだね。ハイわかったよ」と行動が変わるはずがないです。
その点、スポーツマン受験生はどうか?というと、(少し魁の想像が入りますが)
- スポーツをしていたことで、自分が本来出会うことなかった仲間や指導者と出会い、たくさんの人を見ている。
- 行動範囲が広く、自分の至近しか知らないお子さんより視野が広い。
- そして、楽しみと厳しさが混ざった多くのトレーニング時間を過ごし、それを成果に結びつける喜びを知っている。
人間は、成長するとともに新しく行動半径が広がり、それに伴って成長します。スポーツの経験から、例えると「飛び級」をしたような突出した成長を体得しているのは、代えがたい財産です。
特に、3つ目の「努力して成果を勝ち得た喜び」は、そのまま受験勉強と合格に置き換えられます。
小難しい言葉をわかったように述べるより、「きみがスポーツで”栄光を讃える”と言われた瞬間を再現しようぜ」のひと言で、俄然お子さんの中でイメージが付きます。(脳と心が、栄光を得た瞬間の状態を記憶しているからです)
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よって、今回ご説明した地獄の特訓のようなハードな勉強の追い込みと、スポーツに打ち込み、ガンガンに鍛えられた受験生はかなり相性がいいです。
乾いたスポンジが水を吸い込むように(たとえです)、知識の補填、得た知識の運用の仕方、表現方法、そして時間の使い方さえアシストすれば、みるみる行動が変わっていきます。